--- 日本初のソーシャルメディアリードとしてご活躍の熊村剛輔氏に、ソーシャルメディアマーケティングへの取り組みについてお聞きしています。
 ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)を本格的に実践していく上で、ツールやプラットフォームの今後の進化についてはどのようにお考えですか?
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熊村:突き詰めていくとソーシャルメディアというのは、ツールでしかないのではないでしょうか。結局、ブログもTwitterも、SNSにしてもツールでしかない。人が集まって交流するためのツールとしては、以前から「オンラインコミュニティー」がありましたが、これは自分達で構築するのが難しく、専門家の手が必要でした。しかし、mixiが出てきた事で、誰でも簡単に出来るようになった。それだけの変化なんだと思うんです。
 つまり、ツールとして「ソーシャルメディア」が現れている以前と以後では、人の考え方自体は、実はあまり変わってない。ネットワークを横広がりでずっと広げていきたい人と、縦に深めていきたい人と言うのは、別にツールが変わったからといってその指向は変わらないのだと思います。
 たとえば欧米では、横広がりでネットワークを広げて行く為に、FacebookLinkedinなどのSNSを活用する人が多いのですが、結局の目的としては、自分達が転職に有利な状況を作るためとか、起業するときにビジネスパートナーを探したいとか、あるいはスポンサーを見つけたいとか、そういったネットワークやコネクションを広げていくために使っている。だからソーシャルメディアがあろうとなかろうとその行動は変わらない。
 日本でも本質的には同じだと思います。日本の場合はどちらかというとリアルな人間関係を深めていく為に、ソーシャルメディアで活動している方が多いと言われていますが、別にmixiがなかったとしても、その行為を止めるかと言えばそうじゃない。根底で望んでいるコミュニケーションの形態というのは、実はソーシャルメディアによるものではないと思うんです。
 では、なぜ今ものすごく使われているソーシャルメディアと、使われていないソーシャルメディアがあるのかというと、その差はもう元々持っている根源の欲求が満たされるか否かだけだと思います。

--- 企業側は大変ですね。根源的な部分は変わらずとも、テクノロジー的にはキャッチアップし続けていかなくてはならないし、それぞれに応じた対応を求められていくわけですから。

熊村:そうですね。やはり自分でしっかりと一ユーザーとして、ソーシャルメディアの中で動いている人でないかぎり、難しいのではないかと思います。良くあるのが、ソーシャルメディアのユーザーではない人たちが、SMMの施策を考えてしまうパターン。表面だけ分かったような感じで始めてしまって、実際にはあまり良く分かっていないので、形にしてみるとこんなはずではなかった、というのが多々ある。それは、やはり自分で実際に体験していないからだと思います。釣りに関する本を沢山、一生懸命読んだからといって、いきなり海釣りに挑戦して大物が釣れるかといったらそうじゃないでしょう(笑)。

--- 確かに企業マーケターにとって今は、色々な課題を突きつけられている状況だと思います。まずは実際に使ってみなければ始まらないということなのでしょうが、使っていない人もいっぱい居ると思うんですよ、Twitterやってない、ブログやってない人。そういうマーケターに対して御社内ではどのように伝えているのですか?

熊村:「SMMをやるのならばやはり、まずは自分でしっかり使ってみなさい、いずれやらなくてはならない時が必ず来るから」と伝えます。今の段階ですと、別にやりたくなければやらなくてもいいという選択肢もあるかもしれないですが、僕はおそらく、遅かれ早かれ、そうは言っていられないことになると思うんですよ。

--- それはマーケターとしてということですか? それとも一個人として?

熊村:まずは一個人としてです。一個人として、周囲でもっとソーシャルメディアが使われるようになったら、やらざるを得ない状況がきっと来る。そしてその時、マーケターとして人の先を行きたいのなら、今のうちからやっておきなさいということ。人の先を行っておかないと、先行で動けるメリットというものはないと常々語っています。
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--- アメリカだと国土面積や国内時差のこともあって、「人に会う」ということに比較的時間や手間がかかるから、こういったものへの欲求が凄く強いと思うんです。そういう意味では、日本ではそうした欲求が少し弱いような気がしますね。

熊村:そうですね、日本ではまだ、切実さを感じている方があまり多くないのかもしれないですね。ただ、遅かれ早かれ切実な問題になってくると思います。自分の身の回りの人がみんな、Twitterでバシバシ「ツイート」し始めた時を考えてごらんなさい、ということです。そうなった時に自分がそれを知らなかったら、そこに対して「どうやってマーケティングするの?」という話になる。実際にソーシャルメディアの中に身を置き、そこで交わされている情報の内容、流布する状況、誤報への対応、そうしたものを間近に見ていく中でようやく、ソーシャルメディアの情報は玉石混淆なんだという事が、実際に自分の目で確かめていけるようになると思うんですよね。そういうリテラシーを身に付けていないと、これからSMMを活用していくのは結構厳しいかなと思います。

--- 確かに今からちゃんと「ソーシャルメディア」での"泳ぎ方"を知っておかないと、玉なのか石なのかということを見極める力がつかないですよね。

熊村:今、ソーシャルメディアを使っている人というのは、多分まだそんなに多くはない。実際にターゲットとしているお客さまでは、使ってない人の方が多いかもしれないです。しかし現実問題としては、ある世界の20大ブランドで検索をかけた時に、その結果の約1/4はすでにソーシャルメディアでのポストだという事実はありますから。そういう現実をまずしっかり知ってもらうところから始めなくてはいけないと思っています。
 だから今回、SMMのフレームワークを作るにあたっては、まず最初に「ソーシャルメディアを知ってもらう」ことから始めたんです。全3部構成のまず最初に、先程の「20大ブランドの検索結果に於けるソーシャルメディアの存在感」などのデータをはじめ、予算規模だとか、市場規模だとか、現在のソーシャルメディアの状況などを、良い点悪い点すべてきちんと教えて、まず理解してもらう。それを踏まえた上で、「SMMとは?」というかなり概論的なところから、「具体的に進めていくに当たってはどこに気をつければいいのか」というところに落とし込んでいって、一番最後に「企業としてSMMを実施していく際に、必ず守らなくてはいけない約束事」で結んでいます。

--- そういうフレームワークの中では、企業のマーケティング担当者に問われるスキルというのも、確実に多様化してきているんじゃないですか? 今は、マーケターにとっても大変革の時で、ここで変われた人と変われない人とでは、10年後、立場や、仕事の内容や、給料など、様々なことが凄く変わる気がしているのですが、これからのマーケターに対してアドバイスはありますか?

熊村:まずは、ソーシャルメディアが広がることで、これまでよりも安価に、これまでよりも手間をかけることなく、顧客の声をダイレクトに聞く事が出来る環境が整い始めてるという事を理解しなくてはいけないと思います。
 それまでは代理店というフィルターを通していましたが、ソーシャルメディアの登場によって、消費者と企業との間のダイレクトコミュニケーションの機会が増えてきているわけです。直接的なコミュニケーションだからこそ、話し上手なだけではなく聞き上手でなければならないと思います。そのためには、多方向にアンテナを張り、自分達のターゲットが本当に求めているものは何か、何を思い、何を考えているのかをしっかりと見ていくところから始めるべきなのです。
 僕はよく、「SMMというのは、自分達でブログを立てたり、Twitterアカウントをオフィシャルで作ったりするだけではないですよ」と言うのですが、別に、コミュニケーションをアウトプットする場をソーシャルメディアに求めなくても、ソーシャルメディア上にある様々な言葉、会話といったものを吸い上げて、それらを何らかの形で、改良改善、あるいはイノベーティブなものに変化させていくことが出来るのであれば、それは立派なSMMだと思っているんです。

--- 意外にそちらのほうが本質的だと言う人もいますよね?
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熊村:突き詰めていけばいく程、SMMとは、当たり前のことを当たり前のようにやることに徹するというのが一番のテーマなんだと感じます。なのになぜ、企業のマーケターという立場になった瞬間に、その当たり前の事が出来なくなってしまうんだろうかと自問自答しています。普通に個人としてやる時は、当たり前の事が出来るはずなのに、なんで「マイクロソフトの熊村さん」になった瞬間に、当たり前のことに一瞬躊躇してしまうんだろうと悩む時があるんですよ。

--- 企業人として働いている人はみんな、そういう部分はありますよね。

熊村:昨夏、SMMのフレームワークを書いているときに、「なんでこんな当たり前のことを、わざわざ書く必要あるんだろう」と悩むことが多々ありました。しかし一方で、「見直す良い機会かな」とも思いました。アメリカでは確か、Twitterがある程度普及し始めて以降、急速に企業がソーシャルメディアに関するガイドラインを制定し、公開するのが盛んになったのですが、それを一通り読んでみると、「嘘はつかない」だとか、「人の悪口は言わないだ」とか、「間違えたらちゃんとごめんなさいと言いましょう」とか、「変に強がって意地張っちゃダメですよ」とか、極論そういう事ばかりが書かれているんですよ(笑)

--- 幼児教育に立ち戻るみたいな感じですか?(笑)

熊村:本当にそうです。小さな子どもたちを諭すときに、たとえば「誰々ちゃんの悪口言っちゃだめ」とか「嘘をついちゃダメ」というように諭すコトがあるかも知れませんが、これはソーシャルメディアのフレームワークやガイドラインとあまり変わらないのでは、と思う時が度々あります (笑)

--- 大人達の自浄作用が始まってるのかもしれませんね。

熊村:確かに、クライアントとエージェンシーとコンシューマー、カスタマーの関係が変わりつつある中で、自浄作用が働いて、今それがどんどん顕在化しつつあるところなのかもしれないです。

--- まさに20世紀に大量生産、大量消費の時代に汚れきった垢を、今落としつつあるという感じでしょうか? ソーシャルメディアは、たとえ手法が稚拙だったとしても、変わろうとしている人に対して温かいですから、この流れをいち早く理解して自浄出来たところが、今後強くなっていくのかもしれませんね。

熊村:ソーシャルメディアに最初に参入していく、いち早く参入していくことが評価されているのは、おそらくそこにあるんじゃないでしょうか。顧客の視点からみるとまだ、「やっと企業が素の状態でコミュニケーションしてくれる気になった」という部分の評価が大きい。

--- ある意味、ただ「正直者であればいい」今は楽かもしれませんね。

熊村:確かに楽だと思います。だから早く始めた方が良いんじゃないかな(笑)

--- そうなると、ソーシャルメディア時代の企業というのは、そこで働いている人たちが、ソーシャルメディアにしっかりと向き合おうとしているかどうかが大きなポイントになってきますね。

熊村:実際のところ、今、ソーシャルメディアで存在感を出している企業では、その担当者がすごく純粋で、熱い方であるケースが多いんじゃないかと思います。結局、SMMでは、人間的な本質が問われてくるということなのではないでしょうか。

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熊村剛輔氏 略歴
マイクロソフト株式会社 セントラル マーケティング本部
デジタル マーケティング & アナリティクス グループ
オンライン マーケティング マネージャー
ソーシャル メディア リード

 幼少より海外で過ごし、90 年代半ばから後半にかけてプロのサックス奏者として活動後、
IT 業界へ転身。
 リアルネットワークス株式会社で RealPlayer のプロダクトマーケティングおよび RealGuide、RealNews のエディター・イン・チーフを務め、コールマン・ジャパン株式会社で Web マーケティング全般および E コマースを統括したのち、2006 年マイクロソフト株式会社に入社。2009 年より「ソーシャル メディア リード」として、ソーシャル メディア マーケティング施策全般に携わる。
 
インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

--- 日本初のソーシャルメディアリードとしてご活躍の熊村剛輔氏に、企業としての
ソーシャルメディアマーケティングへの取り組みについてお聞きしています。IMG_2387.JPG
 マイクロソフト社では昨年夏、熊村さんの指揮によりソーシャルメディアマーケティングへの、総合的な取り組み方をまとめた「バイブル」と、その思想を基にしたフレームワークが策定されましたが、それらを基に今後スタートされる本格的なソーシャルメディアマーケティング施策は、どのような取組みになりますか?

熊村:本来、ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)には「バズ & バイラル」型と「アドボカシー(信頼を得る為の支援)」型があると思うのですが、まず、SMM=バズ & バイラルのように広まってしまい、ツールありきな状況になってしまっていることで、SMMの本質が誤解されているのではないかと危惧しています。
 これはもうホントに、自分も含めて、今までソーシャルメディアの世界の中に居た人たち、全員に責任があると思っていますが、新しいツールが出るたびに、あたかもそのツールを使えばバズ & バイラルが起こせるかのような騒ぎになる。Twitterなんてまさにそうですよね。「やれ、Twitterというものが出てきました、Twitterが広がってきました、Twitterであんな事やこんな事が
出来ます」と語られているのはホントにバズ & バイラルな内容ばかり。

 これはブログの時もそうでした。そしてセカンドライフの時もそうでした。いつの時代も、必ずなんらかのツールが出てきては、バズ & バイラルの起爆剤としてもてはやされる。確かに、バズ & バイラル型の方が、わかりやすく、華々しく派手で、効果も見えてくるし、なにより企業にとっては、効果指標が作り易いように感じるんですよね。でも実際は、バズ & バイラルはそう簡単に起きませんし、起きたとしてもその効果は一次的なものに過ぎず、SMMの本質ではないと思うんです。言ってしまえば、毎回競馬で大穴張ってるようなもの(笑)

--- もうちょっと堅実的にやる方法があるんだ、ということですよね? たとえば、ENGAGEMENTdb(http://www.engagementdb.com/)で、ソーシャルメディアを上手く利用した企業が、売上を18%伸ばしているというような調査結果を見ると、「アドボカシー」型が徐々に成功しつつある証明なんじゃないかなと思うんですが?

熊村:そうですね、これからは本当に「アドボカシー」が重要視されていくと思います。長引く不況で消費者がお金を使わなくなっている以上、企業が引き続き成長していくためには、他社様のシェアを奪っていくような方向も検討しなくてはいけない。そんなとき、消費者との直接的なエンゲージメントを高めていくことで、それまで他社の顧客だった方にも「こっちも見てね」といったように、興味を持っていただけるようなソーシャルメディア活動が出来たら、それはそれで非常に成功している例になると思います。
 傍目には目立った結果にならないかもしれないかもしれませんが、それでビジネスプロセスが改善されたとか、商品や自分達の持っているプロダクトがどんどん性能のいいものになったならば、それは立派な成果だと思います。直接的な売上になるならないを別にして。

--- それでは、アドボカシー型SMMに先行者利益がある思いますか?

熊村:SMMにおいて先行者利益的なことは確かにあると思います。SMMは今はまだ、ある一線を踏み出すかどうかをみんなが悩んでいる状況で、まずこの一線を越える事がかなり評価されるのでは? 企業が消費者と同じ土俵に立ったことを明確に宣言する事だけで、今はまだかなり評価される時期だと思います。その上で、もしもその取組みが多少稚拙であったとしても、インターネット上に残って行く活動の蓄積が足跡として、後々検索されて沢山の人に見られて行くので、「積極的に消費者と向き合っている」というイメージを作るのに、意外と影響が大きいのではないかと思います。

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--- SMMの導入に戸惑っている企業は何から始めるべきだと思いますか?やはり傾聴戦略?

熊村:傾聴戦略だと思います。しかし「何から始めましょうか」と言っているうちは多分、まだ必要とされていないのかもしれないですね。自分達のマーケティング戦略における課題があった時に、その課題を解決する道具の一つとして、ソーシャルメディアが見いだされるというのが、本来の流れであると思っていて、最初から「SMMを始めよう」「で、始めようと思ったはいいけど、なにからやっていこう」と考えていくのは、正直結構危ないのかなと思います。そういう取組みだと多分続けられないでしょうし。
 たとえば、本当にもう、継続的に顧客とのコミュニケーションやエンゲージメントを高めていかないと、2年後3年後の自社製品のシェアに響いてくるというような切実感を持っている人たちが、じゃあ今からソーシャルメディアを使って少しずつエンゲージメントを高めておこうね、というような形で始めるべきです。

--- 現場レベルでは理解出来ると思うのですが、それを経営層に伝えて行くにはどうしたらいいでしょう?

熊村:個人的にジョシュ・バーノフ(フォレスター・リサーチ『グランズウェル』著者)に、経営層に伝えていくにはどうしたらいいんですかと聞いた事があるんですが、彼は、新規のクライアントに会う時は、出掛ける前にソーシャルメディア上でその企業がどのように語られているか調べて、持って行くんだそうです。そして、いきなりミーティングの最初に「あなたの会社は今、ソーシャルメディア上でこのように語られています」と見せるんだそうです。それでまず不安感や危機感を持ってもらう。現状を見てもらって、深く考えるきっかけを作ってもらうんだとおっしゃってました。

--- 確かにそうした定性的なほうがいいでしょうね。感覚に訴えるというか。確かにこれを無視したら2年後こうなるな~みたいものを見せられたら経営者は不安になるし、「あぁ、あそこはもうやってるのか、我が社も遅れてはいけない」という感じになりますね(笑)

熊村:なので、僕も常々、それに関する案件があるのかないのか全く別にして、自社に関して気になるものというのは、ソーシャルメディア上でどう語られているか、継続的にチェックを入れています。そして、それについてなにか相談された時に、「実は今、こういう風に出されていますよ」「こういう風に出てきていますよ」というものを、サッと見せるような用意をいつもしています。

--- ちなみにそれはどうやってチェックされているんですか? なにか上手いチェック手法があるのですか?

熊村:チェックするツールはしっかりとした有料のものを使ってますよ。やっぱりそのメジャメント(測定)に関しての予算は、シビアに考えておかないといけないです。

 ソーシャルメディアに限らず、オンラインマーケティングをする時によく、ウェブサイトやキャンペーンサイトを制作するだけにもの凄くお金をかけてしまって、その効果測定をどうするかという段階になって、そのツールに対してなかなか予算を割り振ることが出来ないとか、そこまで割り振ったはいいけれど、その後継続して最適化させるサイクルに持って行く為の予算がなかった、というミスに陥りがちです。一番悩ましいのは、失敗したとわかっているのに、修正するための最適化予算がないまま最後まで行ってしまって、なんかすごく不完全燃焼で終わってしまうパターン(笑)。別にこれはSMMに限らず、オンラインマーケティングというか、マーケティング活動全般で当たり前の事だと思うんですが、自分達が世に出したものが、今どうなっているかということを把握するためのコストと、把握した結果それをどう変えていくかというコストを、ある程度最初のうちにしっかり検討しておくべきだと思います。

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--- SMMは本質的なところになるとメジャメント(測定)というのが本当にむずかしいですね。

熊村:理想論を言ってしまうと、SMMだけを切り離して考えてしまうと、かなり難しいと思います。SMMだけを単体で考えてしまうと、その施策に対してなんらかのROIが求められてくるのは避けられない。そうすると「書かれたブログのPVはどうだった」といった話になってきてしまう。だからSMMをマーケティング施策の中の一環として考えて、これはこれだけパフォーマンスが出たから、たぶん結果的に全体にも役に立っている、と考える事が出来たらいいなと思います。

--- そうなると、人がかける時間やシステムにかかるコストなどを、どこまで許容するかになるんでしょうか?

熊村:その意味では、費用対効果を見るのではなく投資対効果で見るのが大切ですね。
 これは今回のフレームワークを作る中でもかなり重点をおいたところなのですが、費用対効果で考えてしまうとなにも出来なくなってしまうから、投資対効果で見た方がいいということは注意しています。たとえば、PVであるとかクリックレートやコンバージョンレートのようなものは、基本的に費用対効果じゃないですか。かかった費用に対する明確な指標として、CTRであったりとかCVRがあがってくるわけですが、まずSMMをその切り口で評価するのは止めましょう、ということです。
 投資対効果でしっかり評価していくためには、中長期的に考えなくてはいけないのですが、実際には、ブログでの会話量が変動すると、オンラインでの売上はどうなるかというような指標(KPI)と、コミュニケーションのインデックス(KCI)に分けて考えて、KPIとKCIというものの相関性を見た上で評価していきます。そして、そういったことを観測していきながら、ある程度の時間をかけて独自の指標を作っていくべきだと考えています。

--- 投資対効果という言葉が出て来たんですけれども、SMMに対する投資額というのは具体的には、どのぐらいの規模なんでしょうか?

熊村:それは案件によって異なると思います。たとえば、一つの製品を扱うにしてもその製品が今、どのフェーズにあるかで変わってくると思うんですよね。たとえば、売り出し始めましたという時と、売り出し始めてある程度キャズムを越えて、もっと需要を伸ばさなきゃいけないという時と、キャズムも完全に越えて需要も伸びた後、更にこれを浸透させていくにはどうするかという時、一つの製品にしても色々な形でのマーケティングの仕方、プロモーションの仕方があると思います。その時々で投資対効果の投資の割合は変動するんじゃないかなと思っています。

--- SMMに対する投資を数字でないもので考えるとしたら?

熊村:多分それは企業文化によっても変わってくるんじゃないかと思いますね。本当に純粋にお財布から出て行くお金だけをもって投資と見るのか、あるいはそこに関わってくる人間に伴う時間だったり、労力だったりまでを含めてシビアに考えていくのかは、おそらく企業の経営スタイルによっても変わってくるとは思います。ですから結局平たく言ってしまうと、効果指標というのは自分達で作るしかないってところがやっぱりあると思います。SMMが、これまでのオンラインマーケティングと何が決定的に違うかというと、これまではいわゆる費用対効果という面での共通指標が、明確に存在したというところだと思います。
 たとえばその共通指標と言うのは、PVやあるいはリピート率、またはコンバージョンレート、というように様々な指標が確立されていますし、その指標は何らかの形で見る事が出来ます。それはもう共通指標として認知されていて、可視化出来るような状況になっていれば、アクセス解析ツールなどを使えば、極端な話、誰でも見る事が出来ます。ですがSMMの場合は、そういった共通指標は無いという認識からまず始めないといけないなと思うんです。そして、無いまま始めていく訳にはいかないのだから、自分で自分にあったものをちゃんと作りましょうということですよね。

--- 将来的にはSMMにも共通指標が出来るんでしょうか?

熊村:無責任に言っちゃうと出来ると思いますよ。ただ、万人の為の共通指標にはならないとは思うんですけども。業界毎だったり、企業規模だったり、そのビジネスに応じた独自の指標という形で、ある程度類型化されたものにまとまってくるんじゃないかなとは思います。

《次回へつづく》

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熊村剛輔氏 略歴
マイクロソフト株式会社 セントラル マーケティング本部
デジタル マーケティング & アナリティクス グループ
オンライン マーケティング マネージャー
ソーシャル メディア リード

 幼少より海外で過ごし、90 年代半ばから後半にかけてプロのサックス奏者として活動後、
IT 業界へ転身。
 リアルネットワークス株式会社で RealPlayer のプロダクトマーケティングおよび RealGuide、RealNews のエディター・イン・チーフを務め、コールマン・ジャパン株式会社で Web マーケティング全般および E コマースを統括したのち、2006 年マイクロソフト株式会社に入社。2009 年より「ソーシャル メディア リード」として、ソーシャル メディア マーケティング施策全般に携わる。
 
インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

IMG_2401.JPG--- 今回は、マイクロソフト株式会社で日本初のソーシャルメディアリードという、ソーシャルメディアマーケティング戦略の統括責任者としてご活躍の熊村さんにお聞きしたいと思います。ご経歴が大変ユニークなのですが、プロのジャズミュージシャンだった熊村さんがどういう経緯でインターネット業界にお入りになったんですか?

熊村:90年代の半ばから後半にプロのミュージシャンとして活動していまして、その時に自分で情報を発信していけるというところにすごくインターネットの可能性を感じました。それまではメディアを通じてでしか発信出来なかったもの、個人の作品であったり、インフォメーションであったりという、メディアが取り上げてくれなかったような小さな情報をどうやって外に出せるかに強い興味がありました。で、気付いたらいつの間にかインターネット業界に(笑)

 リアルネットワークスやコールマンといった企業を経て現在に至るのですが、1人で二役も三役もやらせてもらえるような環境だったことが今とても役に立っていると思います。たとえば、ウェブサイト一つ見るにしても、大きい組織になると完全分業制になったりしますが、システム構築の提案からプロジェクトをマネージメントしつつ自分でコーディングをしたり、併せてコンテンツの編成・作成・編集も自分でやりました。実は宣伝やマーケティングの経験はオフィシャルにはないんですが(笑)、おそらく自分がウェブマーケティングというものに関わって行くにあたって、システムを作るといった上流の方から、コンテンツを更新するといった現場の作業までの行程を経験して来たというのは大きな経験だったと思います。

--- ソーシャルメディアリードというのは部署的にはどちらに属しているんですか?

熊村:僕自身が籍を置いているのは、企業サイトを運営している部門で、企業サイト全般ガバナンス的な部分を主管している部署です。

--- 現在、ソーシャルメディアマーケティングの教科書的に読まれている「グランズウェル」にも、どれだけ経営層を巻き込めるかということが大事だ書かれていますが、最終的にソーシャルメディアマーケティングを誰が担当すべきかは、既存の組織の中ではなかなか難しい問題ではないですか?

熊村:そうですね。特に、大企業になると、セクション毎に業務だったり役割がきっちりと分かれている為、ソーシャルメディアに取組むにあたって全部をきちんと考えなくてはいけない、そうなると新しく専門部署というものを明確に設けなければいけないという組織論になってしまって、「じゃあウチでは無理だよね」って言う形で終わってしまうケースが実はほとんどだと思うんですよ。だからむしろ、小回りの効く組織の方がやり易いのかな、とは正直思います。

 ただ今回、僕がマイクロソフトという企業の中でソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)をやらせてもらえるような背景は、やはりSMMというものにキチンと取組むべきという機運が日本だけでなく全世界的に高まってきたというのが追い風だったと思いますね。

--- 熊村さんの活動が広く伝わると、いわゆる大企業も変わるかもしれませんね...

熊村:だといいんですけどね、ホントに。でも今、組織の中で自分が本当に意思決定者かと言ったら、実はそれほどの立場でもないんですよ(笑)ただ、最終的な意思決定を自分がするにせよ、しないにせよ、何らかの形で現場のスタッフたちのアドバイザーでいられるということは、大きいかもしれませんね。「なんかあったらこの人に聞けば良い」という形で、ソーシャルメディアに関する社内の窓口が集約されているのがいいことだと思います。

--- ソーシャルメディアリードとして、実際にはどんな活動をされているんですか?

熊村:今はまだ社内コンサルタント的なところが大きいです。というのも、フレームワークを作り始めたのが昨年の夏なんです。三ヶ月かけて作ったフレームワークを10月一ヶ月かけて、ネット活動に関わる可能性のある、社内の様々な部門のマーケターを対象にトレーニングしました。当初20、30人を対象に1,2回を予定していたんですが、予想外に希望者が殺到しまして、結局3回になりました。さらに関係性の深い部署には、具体的な施策に応用していく為のケーススタディーや、直近の課題に対するアプローチを考えるワークショップなどをやっています。その段階が今もまだ継続中です。

--- マイクロソフトとしての具体的なSMMというのはスタートしているのですか?

熊村:これまでもブロガーイベントを含めSMM的な活動はやってきましたが、今回こうしたフレームワークを作成し、それをしっかり浸透させた結果というのは、今後出てくると思います。

--- そうすると今後はマイクロソフトの社員が、全社的にソーシャルメディアに関わっていく形になっていくんでしょうか?

熊村:それは案件・施策によってだと思います。今回フレームワークを作って行く中で、様々なシーンを想定したんですが、ソーシャルメディアに個人として参加するのか、組織として参加するのか、というところはかなり考えました。また、SMMを、しない方がいいことも実はあるんですね。要は、SMMに取り組んだ方が良い時と、悪い時をはっきり決断する事が大切なんです。

--- 熊村さんがSMMをすべきではないと判断するのはどんなケースですか?

熊村:これもケースバイケースで一概には言えませんね。例えば既にユーザーとのリレーションがしっかり出来上がっている場合、特定の顧客との密な関わりが取れているといった、絶対的な状況が出来上がっている場合は、むしろお金とリソースを割いてまでソーシャルメディアを使う必要はないかもしれませんし、シビアに考える必要があると思います。

--- 必要性に応じて優先度を変えるという判断ですね。

熊村:そうです。だからSMMだけを切り離して考える事は出来ないと思っていて、全体の大きなマーケティング施策の一環として、ソーシャルメディアをツールとして使うか、使わないかだと思うんですよ。

--- ソーシャルメディア活動を始める時に参考にした海外の企業例はありますか?IMG_2417.JPG

熊村:海外企業でも参考にした事例はありますが、「鵜呑み」にするのは危険だと思います。今回、しっかりとしたSMM活動のフレームワークを作って行く際に、一番注意した点はそこなんです。海外の事例がそのまま日本で本当に上手く行くかどうかわかりませんから。「これアメリカだから上手くいったんじゃないの?」ということって結構あると思うんですよ。

 日本のインターネットをその環境や文化も含めて考えた時に、果たして「自分たちで情報を発信しよう」と積極的に考えている人がどれだけいるんだろうかという部分で、やはりアメリカとは大きく異なっていると思うんです。日本では、自分の意見をしっかり持って、その意見を流布させる為にブログを活用している人ってあまり多くないのではないでしょうか?意外と二次情報が多いという気がします。

--- そう言った意味では、今回の熊村さんのブログは、一次情報を作ろうとされていますね?
(熊村氏は現在、自身のブログ『life is so...』で今回の「バイブル」作成に関するエピソードを執筆中)

熊村:そうですね...しかしあくまで公私の私の部分でやっているもので、会社の活動とは切り分けて考えています。ただ、以前から考えていた事が今回、公の活動とリンクしたという感じです。

 そもそも、巷で出ている書籍だったり、文献について、「なんである特定のツールやプラットフォームについてしか語ってないんだろう」と考えていました。少し前まではブログ、最近だったら、ホントにツイッターについてしか書かれてない。でもブログやツイッターはあくまでもツールであって、方法論じゃないのに、というのが自分の中でずっとあったんですよ。

 これまでのSMM論というのは、なぜかバズ&バイラルの方にしかフォーカスがあたっていなかった。そして、なぜかツール、プラットフォーム単位でしか語られていなかった。つまり、バズ&バイラル以外のSMMの「本質」について語っているものであったり、あるいはプラットフォームに依存しない形、つまりブログもあればツイッターもあるし、SNSもあるよ、みたいな形で広義にSMMをしっかり俯瞰出来ているものっていうのが実はほとんどなかったと思うんです。僕は「グランズウェル」をかなりバイブルだと思っているんですが、唯一「グランズウェル」がそれに近いかなぐらいのレベルだと思います。

--- 確かに熊村さんのブログには「グランズウェル」以外のリンクがあまり出てきませんね。

熊村:引用しようがないんですよ。元々あの「フレームワーク」ってないから作ってしまえというのが一番の発想なんですね。そもそもの初期衝動じゃないですけども、最初の原動力って「ないからつくってしまおう」なんです。唯一あったのが「グランズウェル」。でも「グランズウェル」だって、ページには限りがある訳ですし、幅広く適用出来るかと言うとそうでもないですし。「グランズウェル」だけを鵜呑みにしてしまったら、弊社の業態や業種、施策にそのまま直接応用して成功するのか失敗するのかというところもちょっとリスク高いなと。だったら、自分達の視点で「グランズウェル」のように包括したものをしっかりと作りましょうというのが、僕が今回、社内的にしっかりSMMをすすめていこうという追い風の中、作らせていただいたフレームワークなんです。だから「グランズウェル」と今回僕が自社内でちゃんとSMMをやるんだったら両方読んで下さいっていうのはありますね。

--- ちなみにこの「バイブル」は出版予定とかあるんですか?

熊村:ないです。

--- ないんですか?もったいない(笑)

熊村:ひょっとしたら出版して下さいって、言って下さる方がいらっしゃるのかもしれないですが、あまり考えてません。というのも、僕が今回フレームワークを作ったもう一つの理由でもあるんですが、今の世の中には「事例ばっかりだよね」という思いもあるんです。たとえば、どこどこの企業さんがブログを使って、こんな事をやったら売上がこうなりました。どこどこの企業さんがツイッターを使って、なにかプロモーションを仕掛けたらこれだけのセールスになりました、ばっかりじゃないですか? でも、実は他社の事例はあまり参考にならないと思っているんです。

 ただ、どうしてもやっぱり人の事例が気になるというのはありますし、知らない方がたからしてみれば、そう言った事例がある方が理解し易いというのは分かっています。実際問題、社内でフレームワークのトレーニングをやった時も、随時フィードバックを受けるんですが、事例を多目に盛り込んだ回の方がやっぱりポジティブなフィードバックが流れてくるんですよ。しかし、いくら他社の事例を出したところで、分かった気にはなれるかもしれませんが、それを実際自社に応用出来るかっていうと、そうでもなかったりするケースが多い。だから、僕が今回作ったフレームワークは、あくまでも社内の人が社内の施策をやっていくときに使えるものを目指したもので、ここに書いた事は「マイクロソフト」による一事例でしかなくて、他の業界、業種の方が、同じ事をやって上手く行くのかと言ったらまず難しいだろうなと思うんです。僕はマイクロソフトについてしか語れませんから。

 同じような内容をキチンと書く事が出来る人と言ったら、様々な業界・業種の企業の案件を数多く扱ってらっしゃるような、エージェンシーの方やプランニングされている方、クリエイターや、プロデューサーかもしれない。いずれにせよ、「広告主」側の企業の「中の人」ではない、と思います。出版して公の人に見てもらうという意味では、僕が出すと不完全になってしまうと思うんです。

--- 確かに、様々な取り組みの最大公約数を誰かが見つけて書籍化したら、それは凄く良いものになりますね。ただ、ほかに誰もやっている人がいないから、多分みんな熊村さんに期待してるのでは?

熊村:今後、ほかの企業の方が同じような事をやり始めて、どんどん色々な事例が外に出て来たら、そうした事例のOne of themとして弊社の事が語られるかもしれませんけれども、おそらくそれを書くのは僕たちじゃない、と思ってます。全てを踏まえたもっとすごいものを、誰かが書いてくれると信じています。

《次回へつづく》

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熊村剛輔氏 略歴
マイクロソフト株式会社 セントラル マーケティング本部
デジタル マーケティング & アナリティクス グループ
オンライン マーケティング マネージャー
ソーシャル メディア リード

 幼少より海外で過ごし、90 年代半ばから後半にかけてプロのサックス奏者として活動後、
IT 業界へ転身。
 リアルネットワークス株式会社で RealPlayer のプロダクトマーケティングおよび RealGuide、RealNews のエディター・イン・チーフを務め、コールマン・ジャパン株式会社で Web マーケティング全般および E コマースを統括したのち、2006 年マイクロソフト株式会社に入社。2009 年より「ソーシャル メディア リード」を名乗り、ソーシャル メディア マーケティング施策全般に携わる。
 
インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

 ブロガーやソーシャルメディアのユーザーと企業のマッチングサイト「モニプラ」が、2009年度に最も会員から支持された企業を表彰する「ファンサイト・オブ・ザ・イヤー」を発表した。

モニプラ ファンサイト・オブ・ザ・イヤー2009 受賞企業発表サイト

投票イベントに参加したモニプラ会員1300人から得た回答をもとに、モニプラに出展している約400社の中からソーシャルメディアを上手く活用したファンサイトを運営する企業を選出。「ファンサイト・オブ・ザ・イヤー」の金賞は、Twitter、YouTube を活用したシャレコデザインが受賞。

シャレコスキンケア
【モニプラ】シャレコスキンケア ファンサイト

金賞受賞のシャレコデザイン株式会社 大野幸一氏コメント

「この度は、皆さん一人ひとりの本当に温かい1票で、このような大きな賞を受賞でき感謝の気持ちでいっぱいです。シャレコスキンケアスタッフ一同を代表しましてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。仕事で辛いことがあっても、あの日、あの時、あなたのブログで「幸ちゃん これからも応援してますよ!!」という書き込みに助けられたことがいっぱいありました!!何回も何回も読み返して励まされました。本当に本当にありがとうございました。」

投票者からのコメント(一部)

・商品の素晴らしさに加え、モニター企画の楽しさ、豊富さ、アフターケアの充実とどれをとっても 他の企業の群を抜いていました。
・レポートを書くと必ず、素敵な返事を書いていただけて、最後まできちんと親切な企業です。常  に見ていてくださる・・そんな素敵な企業は無かったのでイベントに参加していてとても楽しいで す。
・担当の大野さんからの心温まるメールやメッセージをいただき、本当にブロガーやお客様を大切 にしている気持ちが伝わってきます。

ファンサイト・オブ・ザ・イヤー 銀賞、銅賞の受賞企業は以下の通り。

【銀賞】
ハウスウェルネスフーズ株式会社
森永製菓株式会社
株式会社石澤研究所

【銅賞】
通宝海苔株式会社
ニッサン石鹸株式会社
株式会社リベルタ
合資会社 ネプト・プランニング
有限会社エフオービーコープ
有限会社 ビージェイ

モニプラ』について 【URL】 http://monipla.jp/
2008年4月に開始された、情報感度の高いブロガーやツイッターユーザー等と、ソーシャルメディアマーケティングを利用したい企業のマッチングサイト。企業は、モニプラに出展することで、簡単にファンサイトを構築することができ、新商品の告知や各種キャンペーンに利用出来る。初期投資が無料で、ブログやユーチューブ、ツイッター等のユーザーを対象としたソーシャルメディアマーケティングが可能になるため、世の中のソーシャルメディアに対する関心の急速な立ち上がりを受け、中堅・中小企業を中心に出展企業数を拡大中。

 先日開催された、「ソーシャルメディアマーケティングセミナー」において、米国Digital Media Strategies, LLC代表織田浩一氏のケーススタディで取り上げられた欧米の最新SMM事例を織田氏のご好意によりご紹介させていただきます。
 一般的にはあまり知られていない中小規模の企業によるリアルなSMM事例をご参考ください。


DB004.jpg【David's Bridal オンラインブライダルショップ】

URL:http://www.davidsbridal.com
期間: 2009年1月11日~2月23日

キャンペーン目的:
オンラインでの販促活動によりターゲットとする結婚年齢女性層の間で「結婚式の権威」となるブランドの構築。

キャンペーン内容:
「One Love:この人が世界で唯一の結婚相手」をテーマに参加者が「唯一の人」と感じた瞬間のストーリーを、同社のアクセサリーやドレスを使いながら、テンプレートで作成。閲覧ユーザーからの投票で選ばれたカップルには、理想の結婚式をプレゼントをするというコンテストキャンペーン。

David's Bridal002.jpg

 このキャンペーンでは、『Brickfish』http://www.brickfish.com/というソーシャルメディアマーケティングプラットフォームを活用。

 キャンペーン参加者がブログやSNSへ自分の作ったコンテンツを簡単に送れる仕組みを提供。自分に投票してもらいたいというモチベーションで積極的に知人に紹介するため、トラフィックが増え、また閲覧者から参加者への転換が発生しクチコミ化した。

 また、広告主はリアルタイムで、話題がどのように広がっているか、どの都市で広がっているか、どのブログ・SNSプラットフォームで広がっているかなどを見ることができるため、さらなるキャンペーン構築や最適化を検討できた。

 6週間で1,800以上のカップルが参加し、各参加者が平均12分費やして作成したコンテンツが、MySpace, Facebook, myYearbook, hi5, Tagged, LiveJounalなどのSNSやブログを通して紹介され、最終的には約180万人がなんらかの形でこのキャンペーンに触れた。
このキャンペーンにより、「David's Bridal」はショッピングサイトへのトラフィックを
約2倍に増やすことに成功した。

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《織田(おりた) 浩一氏 プロフィール》
 デジタル・メディア・ストラテジーズ社代表。ブログ・メルマガAd Innovator編集長。
アメリカ西海岸シアトルを本拠地とし、欧米における新規広告・メディアテクノロジー調査、新しいサービスモデルの調査、業界トレンド調査、企業提携の交渉代行、社内研修・セミナーなどコンサルティング業務を日本の大手広告会社、インタラクティブエージェンシー、メディア会社、調査会社、コンサルティング会社、大手商社、大手メーカーなどに提供している。また、欧米の最新広告・メディア情報に関するブログ・メルマガ「Ad Innovator-広告の近未来」も運営中。
http://www.adinnovator.com

 去る12月9日、ソーシャルメディアマーケティング・ラボを主宰するアライドアーキテクツ株式会社では、最新広告手法に関するブログとして有名な「Ad Innovator」の編集長であり、米国Digital Media Strategies, LLC代表の織田浩一氏をゲストスピーカーに、日本初のソーシャルメディアリードに就任されたマイクロソフト株式会社の熊村剛輔氏、ソーシャルメディアを積極的に活用しブランディング価値の向上に成功されているハウスウェルネスフーズ株式会社の丸山佳代氏をパネラーに迎え、日米におけるソーシャルメディアを活用したマーケティングの成功事例を交えながら、日本のEC事業者様向けに、販促におけるソーシャルメディア活用のポイントを議論する、セミナーを開催いたしました。

 欧米と日本の最新SMM事例をご紹介したほか、広告のスペシャリストである織田氏・ソーシャルメディアを包括的に企業利用するための体制作りに尽力されている熊村氏・カスタマーサービスのノウハウを活かしユーザーとの絆作りに成功されている丸山氏のそれぞれのお立場からご意見をいただいたパネルディスカッションは、日本のソーシャルメディアマーケティングの現状が体験的に語られた、示唆に富んだ内容となりました。

 当日は、現在もっとも注目を集めているソーシャルメディアである『Twitter』のハッシュタグを利用して、セミナー内容をライブ発信したり、ご来場の方からのご質問やご感想を投稿していただき、双方向な運営にチャレンジしました。

 以下そのライブツィートをまとめとして掲載させていただきます。
ぜひSMM_Labブログの公式アカウント( @smmlab )をフォローしてご質問・ご感想をお寄せください!

AD Innovator 織田氏をゲストスピーカーに迎えた、アライドアーキテクツ社主宰のソーシャルマーケティングセミナーがまもなく始まります!!! #smmlab
posted at 15:55:34

第一部はAd Innovator 織田氏のプレゼンテーション『欧米の例に見るソーシャルメディア時代のクチコミマーケティング』 #smmlab
posted at 15:57:37

本日のセミナーでは、ツイッターのハッシュタグを利用して出席者の皆様からのつぶやき・ご質問・ご感想などを取りまとめて行きたいと思っています。ハッシュタグは #smmlab です!ツイッター上の皆様も どうぞこちらのハッシュタグをつかって本セミナーに参加してください。 #smmlab
posted at 16:00:16

司会の清水がご挨拶させていただいております。 #smmlab
posted at 16:02:56

デジタルメディアストラテジーズ社代表 織田浩一氏登場 #smmlab
posted at 16:04:07

1.メディアの細分化 その昔、マーケティングは対話だった #smmlab
posted at 16:05:31

こんな大事なときにTwitterサイトがオーバーキャパシティーとか...(涙) #smmlab
posted at 16:39:21

David's BridalのOne Loveキャンペーン事例 #smmlab
posted at 16:40:48

Sprinkles Cupcakes 
posted at 16:41:11

Sprinkles Cupcakes 秘密の合言葉キャンペーン #smmlab
posted at 16:41:39

SNSに毎日秘密の合言葉→店舗でその言葉を言うと特典
posted at 16:42:23

Maetell Home Builders オンライン上で家の建つ家庭がすべてオンラインで見ることができる #smmlab
posted at 16:43:53

新規顧客との関係構築のために既存顧客からの声を積極的に利用 #smmlab
posted at 16:44:43

2007年16戸→2009年は100戸を目指す状況。不動産業者を通さずソーシャルメディアで物件を販売することで経費削減 #smmlab
posted at 16:46:16

日本でもメディアシフトが進んでいる #smmlab
posted at 16:47:23

クチコミマーケティングの5ステップ 正しいターゲットを見つける 彼らが話すことのできるものを提供 より話しやすくなるツールを作る その会話に参加する トラッキング・測定する #smmlab
posted at 16:48:32

@gosuke 復活してきました!
posted at 16:49:18

スターウッドホテルなどはソーシャルメディアを統括する担当者がいる #smmlab
posted at 16:50:19

クチコミの発生要因 Fun(楽しい) Unusual(ユニークな・今までにない) Sexy(魅力的な・セクシーな) Exciting(わくわくする・興奮する) Shocking(驚きがある)  #smmlab
posted at 16:52:44

織田さんのプレゼンテーション終了  #smmlab
posted at 16:53:05

質疑応答タイム #smmlab
posted at 16:54:09

AISASは企業側からの商品機軸の #smmlab
posted at 16:54:51

ソーシャルメディアをトラッキングの指標の設定は? #smmlab
posted at 16:55:34

商品名にかかる形容詞をみてユーザーが感じている商品への感覚をみる #smmlab
posted at 16:56:21

インフルエンサーを特定して拡散の状況を追跡する #smmlab
posted at 16:56:45

クチコミ発生要因の残り二つ Undiscovered Engaging #smmlab
posted at 16:58:40

ハッシュタグ #smmlab で質問を受け付けております! #smmlab
posted at 16:59:59

SMMのROIの考え方:コミュニケーションコストの効率化 最初に「誰か」を連れてくるための費用→その後の定期的なコストを削減できる #smmlab
posted at 17:03:54

マスメディア自体のソーシャルメディア活用は? テレビでは新番組の番組宣伝によく使われて大きな効果を挙げている #smmlab
posted at 17:06:24

広告システムのインフラが日本はまだまだ... #smmlab
posted at 17:07:31

購買行動の変化 AIDMAから変化 認識recognition←主にマスメディア  search←検索エンジン  比較検討alternative←主にネット  体験experience←商品・サービス  共有share←クチコミ #smmlab
posted at 17:11:24

第二部:日本におけるソーシャルメディア活用のあり方~「モニプラ」の紹介と活用の成功事例 アライドアーキテクツ株式会社代表 中村壮秀 #smmlab
posted at 17:22:10

シャレコデザイン株式会社の事例紹介 #smmlab
posted at 17:23:02

約1年前から取り組み開始。まずはサンプリング→感想を募集。その感想に担当者が丁寧に対応→適切なターゲットとの正しいエンゲージメントを構築 #smmlab
posted at 17:26:00

担当者のホスピタリティー(メール・ブログのコメント)→エンゲージメントの深化 #smmlab
posted at 17:27:31

担当者が書き込んだブログコメントでのコミュニケーションはその後10000人以上もの第三者に閲覧されている #smmlab
posted at 17:29:06

一年間の取り組みの中で1600人のファンを獲得し月商15%アップを実現 #smmlab
posted at 17:31:12

ファンとの絆を意識することが成功の秘訣 by シャレコデザイン担当者 #smmlab
posted at 17:32:42

森永製菓の事例 #smmlab
posted at 17:33:05

まず消費者との距離を縮めること←大企業が歩み寄ることによって消費者をファンへ←今まで互いに顔が見えなかったを消費者を可視化しファンとして獲得していった #smmlab
posted at 17:35:25

ブロガーに紹介してもらうだけでなく、企業サイトでブロガーを紹介することで相互理解を深めコミュニケーション質を上げている #smmlab
posted at 17:36:46

ファンとのコミュニケーションから4000視聴以上のヒット動画も誕生 #smmlab
posted at 17:38:43

これからはバイラル型より、Advocacy型のソーシャルメディアマーケティングを目指していくべき #smmlab
posted at 17:40:37

昨年の4月にスタートしたソーシャルメディアマーケティングツール「モニプラ」は現在500社以上の企業がファンとのエンゲージメントを醸成している #smmlab
posted at 17:43:32

マスメディアとソーシャルバナーを組み合わせた「モニプラ プラス」もリリース #smmlab
posted at 17:44:11

第三部:パネルディスカッション【パネリスト】織田氏、マイクロソフト株式会社ソーシャルメディアリード熊村剛輔氏、ハウスウェルネスフーズ株式会社丸山佳代氏 【モデレータ】アライドアーキテクツ中村 #smmlab
posted at 17:47:11

ハウスウェルネスフーズ株式会社がWEBプロモーションで目指すもの #smmlab
posted at 17:47:56

「お客様に囲い込んでいただくこと」=お客様とのキズナづくりを実現させてる #smmlab
posted at 17:48:48

「モニプラ」での達成目標 ただ商品を試すモニターとしての位置づけではなく、一緒に楽しみ、考える機会を継続し、ブロガーとの良好な心の絆を結ぶ #smmlab
posted at 17:50:22

記憶に残るプロモーションを継続することにより、参加者と商品・ブランドを友達関係にまで高め、コミュニティ化することで「広告」では狙えない心情的効果を得る #smmlab
posted at 17:51:57

かなり遠回りな試作に思えるかもしれないが、店頭での差別化が厳しい低単価の商材においては「刷り込み」効果のあるブランディングは広告的な効果にもつながっている #smmlab
posted at 17:53:35

続いて「日本初」のソーシャルメディアリードであるマイクロソフト社熊村剛輔氏の自己紹介 #smmlab
posted at 17:55:27

外資においては本社のフレームワークが持ち込まれることが多いがソーシャルメディアマーケティングにおいてはアメリカと日本の状況が違いすぎると感じていた #smmlab
posted at 17:56:34

社内標準のソーシャルメディアの教科書→日本ローカルのSMMフレームワーク→共通のルールを作っていった #smmlab
posted at 17:58:56

日本とアメリカではソーシャルメディアの状況は違うが、日本で注目しておくべき「ツール」は? #smmlab
posted at 18:01:06

ソーシャルメディアでなにが起きているのか行われているのかを「知る」ツール #smmlab
posted at 18:02:14

熊村氏:ソーシャルメディアマーケティングの一番のリスクはソーシャルメディアマーケティングをやらないことだ #smmlab
posted at 18:03:05

熊村氏:ソーシャルメディアとの接点=ツールは複合した活用法を考えるべき。まずツールではなく、「なにをどうしたいのか」を明確にした上でどのツールを使うかを考えるべき #smmlab
posted at 18:04:43

丸山氏:なにからなにまで自社でやらなければならないわけではないと思う。人と人のコミュニケーションができないのであればやるべきではない #smmlab
posted at 18:05:39

熊村氏:キャンペーンで悩ましいのはソーシャルメディアとSEO。どちらも効果が出るころにはキャンペーンが終わってる #smmlab
posted at 18:08:11

織田氏:smmは中長期的な取り組み。継続的にコミュニケーションが取れるファンを作り続けて、その節目でキャンペーンを組み込んでいく#smmlab
posted at 18:11:32

ファンコミュニティが確立すると、たとえば「炎上」のようなトラブルに際しても、企業が自分自身を守るのではなく、ファンが企業を守ってくれるようになる #smmlab
posted at 18:13:06

熊村氏:ソーシャルメディアマーケティングは1人ではできない。マイクロソフトはSMMのトレーニングに想像以上に幅広い部署のスタッフが手を上げてきた #smmlab
posted at 18:16:42

熊村氏:SMMの効果測定指標を作るのにはかなりの時間がかかる。売り上げが 増えたときにソーシャルメディアではどんな変化があったか、継続的にずっとウォッチしていって一つ一つの影響度をはかり指標化していく。ブログと動画、りツィート、リブログはエンゲージ度が違う。 #smmlab
posted at 18:21:18

丸山氏:SMMにかかわる人間は社内一、お客様が好き!人間とのコミュニケーションがすき!という人でないと務まらないと思う。 #smmlab
posted at 18:22:16

質疑応答タイムです!ご質問はハッシュタグ #smmlab でお願いします!
posted at 18:23:40

ソーシャルメディアによる顧客対応は、電話よりは遅いが、メールよりは早い、という位置づけ #smmlab
posted at 18:25:01

カスタマーサポートとセールスプロモーションの一番の違いは情報の受け方。カスタマーセンターは圧倒的に情報を「受ける」側。かなり「冷静」でいなければんばらない。 #smmlab
posted at 18:26:47

丸山氏:ブログに書くのはカスタマーサポートに電話するより「楽」だからこそ、ちゃんと動向を抑えておくべき #smmlab
posted at 18:28:41

SMMは早く始めたほうがいいのか?  織田氏:情報を発信している人がどこにいて、その人たちにいつ接触するかによって「反応」は違う。トイレットペーパーてSMMするか、のような解のない話。 #smmlab
posted at 18:32:54

成功したと思うポイントは? 丸山氏:C1000タケダ、という人がゼロになること。 #smmlab
posted at 18:33:39

SMMをやっても無駄な業界は? 何億とする医療器械にSMMはだめでは? #smmlab
posted at 18:35:28

織田氏:逆にそういう「ターゲット」がすごくニッチな場合こそ、その人たちとどうやってつながっていくかという手段としてマス広告じゃない分SMMはカバーできる #smmlab
posted at 18:36:49

熊村氏:購買するときに「比較検討」しないものにはあんまり効果はないかもしれないな、という気はする。BtoBでも活用の方法はあるはず... #smmlab
posted at 18:38:13

時間となりましたので、セミナーはここでお開きとさせていただきます。なおこの後もこちらのハッシュタグではみなさまのご感想・ご質問等を受け付けさせていただきます。ぜひ皆様のお声をお聞かせください! #smmlab
posted at 18:40:43

ソーシャルメディアマーケティングについての知見や情報を共有するための場、【SMMLab】のTwitterアカウントは @smmlab です。ぜひフォローしてください!今後、このようなセミナーの告知もいち早くお届けします #smmlab
posted at 18:44:26

IMG_2228.JPG--- 広告に関する企画・マーケティング・ビジネス開発を幅広く手掛けていらっしゃるプロデューサー、高広伯彦氏にソーシャルメディア時代のマーケティングについてお聞きしています。
 ソーシャルメディアマーケティングは、自らがソーシャルメディアの中で活動出来るマーケターが、コミュニケーションという原点に立ち戻った発想の転換が出来るかどうかが大切だということでしたが、現場の担当者レベルだけではどうしても立ち行かない問題もあるのではないでしょうか?たとえば担当者レベルだけでなく、企業全体の消費者に対する距離感も非常に大切なのでは?


高広:プロダクトアウトとマーケットインという企業戦略を考えるには多分、2つのレイヤーがあって、ソーシャルメディアやソーシャルメディアマーケティングを使うというところでは、利用者や消費者の輪の中に入っていける「参加者」でないとわからないことがあると思う。でも、プロダクトを開発するとか、マーケティングを企画するっていうレイヤーでいくと必ずしもそうでなく、「この商品がいいんだ」という信念だとか、あるいはもっとプロダクトアウトの発想でもいいかもしれない。だから企業戦略的にはプロダクトアウトとマーケットインの両方が必要であって、これもやはり発想のバランス。
 たとえば、到底マーケットに受け入れられそうにない商品が出来上がって来た時には、それが今の世の中にどうしたら受け入れられるか、ということを考えなくてはいけない。世の中の人たちが持っている感覚では理解出来ない価値を、それでも「必要」だと感じさせられるように翻訳する必要がある。この「翻訳する」ということがマーケターの最大の職能なのでは。だって初めから世の中に完全にフィットする商品を作ってしまったら、マーケティングなんて要らなくなるでしょ。

IMG_0338.JPG--- 消費者に向き合った企業戦略で有名なP&Gでは、消費者のアンケート調査のようなものは意味がない、そんなところに答えはなくて、実際に使ってる消費者の自宅に上がり込んで、自分たちの仮説を伝えて、その仮説を聞いている人たちの表情などから、様々なインサイトを知ることのほうが大切だと言われていますが、こうした取り組みについてはどのようにお考えですか?

高広:「アンケート」という手法をどう使うかということじゃないかな。全く新しい商品を開発する場合は、P&Gのように消費者の使っている利用シーンに入りこんで、そこから次の商品のインサイトを得るというはとても効果的だと思うけど、現行の商品を改善するということなら、アンケートや既存ユーザーからのフィードバックはすごく重要。これを間違って、新商品開発にアンケート結果を使ったら、理屈的にはどこも同じ商品になってしまうわけで、アンケートがダメだとか、参与観察が良いって言う手法の問題ではなくて、どう使うのかという話だと思う。

--- お話を聞いていると、今までは定量的なデータを元にすべての戦略を立てていたところが、非常に感覚的になってきていて、企業にとってはソーシャルメディアマーケティングに取り組むべきか否かの判断が、非常に難しいのではないでしょうか?たとえば、担当者が上司を説得出来ないという話をよく聞きますが。

高広:ゴールデンルールはないと思うのだけれど、パターンはいくつかあると思う。ひとつ気をつけなくてはいけないのが、世の中の流れの中で流行だからコレをやるべきだというのが一番マズい。このフィルターを外して考えたら絶対理由はあるはず。その理由をどう構築するかじゃないかな。流行物に乗ってるだけでしょ、みたいな感じに終わるのが一番失敗する動きの原因だと思う。

IMG_2223.JPG--- 流行ってるからやりましょうというのは、企業としての戦略を考える事を放棄している、と?

高広:結局、なぜ必要なのか?という問いに対して、新しい物だからというように答えてしまうから上手く行かない。今まで出来なかった事が、このような形で出来るようになるという説得の仕方が出来るかどうかの問題だよね。

--- 今までうちの会社こういう事がやりたかったけれど、出来ていなかったことが遂に出来るんです、だからうちもやりましょう!と言えるかどうかですね?

高広:あとは、リスクとメリット。一番良くない企画書は、メリットばっかり書いてあるもの。マーケティングにリスクは付きものだけれども、そのリスクをどういう風に乗り越えるかという、シナリオが出来ているかどうかが重要。まずはリスクカットを考える。そのリスクカットをやれば乗り越える事が出来る。たとえば、ソーシャルメディアマーケティングというのは、ユーザー、コンシューマーと直結してるから、いわゆる炎上みたいなものを、引き起こしやすいという側面があるわけだけれども、その局面でリスク対応をどうするかを、ある程度想定したシナリオがあれば、ちゃんと対応が出来るはず。それは従来の顧客対応と同様でしょう。

--- 最近ではマイクロソフトが、ソーシャルメディアリードという職種を新設した事が話題となりましたが、そもそもソーシャルメディアマーケディングは、どういった部署が担当すべきだとお考えですか?

高広:究極、どこの部署がやってもいいんじゃないかな。上から言われてやるというよりは、やるべき意識を持った人がやるのがベストだと思うから。

--- ソーシャルメディアの本質を正しく理解して、メリットとリスクをきちんと設計出来れば必要以上に恐るることなかれ、といういうことですね。これは、今現在ソーシャルメディアマーケティングに取り組んでいる担当者や、これから取り組もうとしている企業にとって、大いに勇気づけられるお話だったんではないかと思います。どうもありがとうございました。

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高広伯彦氏 略歴
同志社大学大学院(社会学)修了業後、博報堂、電通を通じて、営業やインタラクティブ系コミュニケーションプランナー、ビジネス開発を経て、2005年から2008年までGoogleで広告商品AdWordsの sales marketing チームを率い、YouTubeの広告ビジネスなどの日本導入などを手がける。2009年1月から独立し個人事務所「スケダチ」を設立。新しい広告と新しいメディアの企画、新しい広告領域ビジネスの開発支援を行う。第二回東京インタラクティブアドアワードグランプリ他受賞暦多数。

インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

IMG_0329.JPG--- 前回、ソーシャルメディアマーケティングを活用するには、人のつながりで出来たネットワークの中において、どのような情報なら伝わるか、どのような情報なら人から人に届けてもらえるかという発想に転換することが必要だとお聞きしました。
 そこで、実際にソーシャルメディアマーケティングを実践する担当者に、必要になってくることはどのような事でしょうか?現在マーケターがやらなくてはならない事は、圧倒的に増えているような気がするのですが...。

高広:よく複雑になってると言う人が多いけど、複雑になっているというより、出来なかった事が出来るようになる、と考えると全然発想が違う訳じゃない?そう考えると楽しくなってくる。

--- なるほど。これからのマーケターにはこの状況を楽しめる資質が求められるということですね?

高広:いわゆるインサイトというものを敏感に感じられることが必要。

--- そういう感性のようなものをトレーニングするのはとても難しいと思うのですが?

高広:一番のトレーニングは、自分自身が利用者になること。傍観者というのが一番良くない。たとえば、ディズニーランドに行ったら思いっきり騒ぐとか、ツイッターが流行っていると聞いたらすぐに使ってみるとか。要するに自分自身が実際に参加者になること。
 文化人類学では「参与観察」という、遠くから見ているだけでなく、自分たち自身がその生活の中に入り込んで分析するって言う手法があるんだけれども、最近、マーケティングの中でも「参与観察」とおなじように、自分たち自身が利用者の輪の中にいかに入っていくか、いちユーザーとして、どれだけ自然に輪の中に入れるかどうか、というのが結構重要視されている。

IMG_0339.JPG--- マーケターが実際にソーシャルメディアに参加しようとしたとき、これだけは使っておくべきというツールはありますか?

高広:今だったらやっぱりTwitterとAndroidじゃないかな?

--- 現状はiPhoneが人気ですが?

高広:いや、Androidを使った端末でしょ。電話の進化というのが感じられないとダメ。iPhoneはデバイスとOSとアプリが一体になってしまってるので、ユーザー数に限界があると思う。Mobile端末がどうなって行くのかはマーケティングにとって極めて大きな問題だから、これからの基軸がなにかと言われたら多分、Androidによるスマートフォンということになると思う。

--- スマートフォンは絵文字が使えないとか、机の下でブラインドタッチが出来ないから女子高生に評判が良くない、なんていう笑い話もありますが、そうした層もAndroid端末を使うようになりますか?

高広:確実になるでしょう。絵文字やブラインドタッチうんぬんという問題は、それが出来るような端末が開発されればいいこと。たとえば、Barnes & Nobleが発売したAmazon Kindleの対抗端末もオペレーションシステムはAndroidですよ。Androidはスマートフォンとか新しいメディアとの親和性が高いからこうしたツールを使いこなしてTwitterなんかをドンドン使っていくべき。

--- マーケター自らがソーシャルメディアを体感する事が大切な訳ですね?

高広:そういう意味では、これからのマーケターは、普段日常生活の中で自分が使っているツールを、どういう風にマーケティング等に使うかを考えられる思考が必要なんじゃないかな。

《次回へつづく》

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高広伯彦氏 略歴
同志社大学大学院(社会学)修了業後、博報堂、電通を通じて、営業やインタラクティブ系コミュニケーションプランナー、ビジネス開発を経て、2005年から2008年までGoogleで広告商品AdWordsの sales marketing チームを率い、YouTubeの広告ビジネスなどの日本導入などを手がける。2009年1月から独立し個人事務所「スケダチ」を設立。新しい広告と新しいメディアの企画、新しい広告領域ビジネスの開発支援を行う。第二回東京インタラクティブアドアワードグランプリ他受賞暦多数。

インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

IMG_2206.JPG--- 今回は、博報堂、電通、Googleを経て独立され、常に広告界のトップランナーとしてご活躍の高広さんに、ソーシャルメディアの時代のマーケティングについてお聞きしたいと思います。
 企業のマーケティング活動は現在、その潮流が大きく変化していると思いますが、まずは現状についてどのようにお考えですか?

高広:僕は、もともとマスメディアとソーシャルメディアを分けて考えるという考え方自体が、あまり好きではないです。なぜなら、今ソーシャルメディアといわれてるものは、別に昨日今日出来たものではなくて、パソコン通信なんかの時代から存在していたもの。「Wired」誌の編集TOPだったハワード・ライン・ゴールドが書いた、『バーチャル・コミュニティ―コンピューター・ネットワークが創る新しい社会』の日本語版が出版されたのは1995年ですから、インターネットがもっとコミュニケーションを自由にして、ネットワークを楽しくするものだという考え方は、インターネットがこれほど普及する前の1994年から1995年ごろにすでに議論としてはあったわけです。
 インターネットの黎明期に期待された流れが今実現されてきていると考えれば、実は、このソーシャルメディアとか、ソーシャルメディアマーケティングというものに、今こうして「名前」が付けられたから、すごくもてはやされているだけ。その本質は昔から考えられていた事であって、人と人とのコミュニケーションというものをベースにしている点では、コミュニケーションの基本に立ち帰っていることに過ぎないと思う。


--- しかし昨今の「ソーシャルメディア」を取り巻く状況変化の大きさは、今までマスメディアとのコミュニケーション、マスメディアを通じたコミュニケーションに執心していた代理店や企業の担当者にとって、あたかも「ソーシャルメディア」というものが突如出現してきたように感じられ、戸惑ったり、必要以上に怖さを感じているのでは無いかと思うのですが?


IMG_0333.JPG高広:マスメディア等のいわゆる従来型メディアを使ってきた人が、ソーシャルメディアというものをなぜ理解出来ないかと言うと、普通の広告担当者にとってメディアというのはイコール広告枠があるものだったわけです。その広告枠に広告を出せば、広告と言うのは完結したのですが、ソーシャルメディアにはそのネットワークそのものに広告枠というものが存在しない。広告枠が存在すれば、広告枠を有料で買ってしまえば場所を確保出来る。ところが、ソーシャルメディアのようにユーザーコミュニティで出来上がるようなメディアの場合は広告枠を設けたからといって、それが必ずしも人々に伝わっていくわけではない。だから有料の広告枠を如何に上手く使うかという従来の発想をまず捨てる事ことが大切なんです。その枠に広告を置くという発想ではなく、人のつながりで出来たネットワークの中において、どのような情報なら伝わるか、どのような情報なら人から人に届けてもらえるかという発想に転換する。プランニングの思考や、モノを企画する思考法に転換を迫られているのは確かですね。
 広告業界では「こういう広告だったら刺さるよね」という言い方があるんですが、今から必要なのは「刺さる」ということではなく、「こういう広告だったら他の人にも伝えてもらえそうじゃない?」とか「こういうのだったら人に伝えたくなるよね」というような発想でプランを作ることなんじゃないかな。

 具体的には、ソーシャルメディアを使ったクチコミマーケティングとかバイラルマーケティングなどと呼ばれるようなマーケティング手法というのは、「広がっていく」ことを考えた「シカケ」と「シクミ」という2つの構成要素が必要なんです。「伝えたくなる」要素が「シカケ」で、「伝えやすい」機能が「シクミ」。その「シカケ」と「シクミ」がバランス良く最大化されると上手くいく。


--- 「人に伝えたくなる」という視点でプランニングされ、「シカケ」と「シクミ」がバランス良く機能したという成功事例はありますか?


高広:『Hotmail』の事例は、今の時代にすごくイノベーショナルで面白い、重要な事例だと思う。
 『Hotmail』の無料メールアドレスから、まだ『Hotmail』のアカウントを持ってない人にメールを送った時に「あなたも無料のメールアドレスを手に入れませんか?」というメッセージが添付され、ユーザーがメールを送れば送る程それが広がっていく「シクミ」になっていた。
 当時はメールアドレスが無料で持てるというものは他になかったので、『Hotmail』のアカウントを持っていない相手にとってもHappyになるベネフィットがあり、広く伝搬していった。また「無料」でメールアドレスが貰えるという情報が人に伝えたくなる「シカケ」として作用した。つまり、『Hotmail』というサービスそのものが、広告媒体として上手く機能したわけです。


IMG_0326.JPG--- 『Hotmail』の事例は時代背景や「サービス」の特徴による独自な例に感じられるのですが、もう少し汎用性の高い事例もご紹介頂けませんか?


高広:東京駅で今とても売れてるお土産商品の一つに「ごまたまご」というのがあるのですが、この「ごまたまご」の一番最初のキャンペーンは東京駅構内での無料サンプリングでした。そのサンプルは、一個食べて美味しかったら他の人にも分けられるように2個入りにしていた。
 あとは、「ポケットモンスター」。ポケモンは自分だけだったらモンスターが育たない。他の人と戦わせることでモンスターが育てられるように作られていた。

 このように、そもそものキャンペーンやプロダクトそのものに人を巻き込めるような「シクミ」が入っているかどうかがすごく重要。例えば「AISAS」と言われる消費者行動理論の中で「Share」(共有)というのは、今一番最後に言われているけれども、僕はもっと早い段階で「Share」が出来ると思っている。ソーシャルメディアマーケティングというのは、いかに情報を伝えたくなるのかという「Share」の要素を常に考えなくてはいけないんです。

 しかし「Share」というのは、あくまでも情報を知った人が共有する「シクミ」だから、一番最初の発火点になるところを上手く作らなくてはいけないわけで、それがマスメディアなのか、あるいはソーシャルメディアなのかも含めて「伝えたくなるシカケ」をプランニングしていくのがポイントといえます。

《次回へつづく》

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高広伯彦氏 略歴
同志社大学大学院(社会学)修了業後、博報堂、電通を通じて、営業やインタラクティブ系コミュニケーションプランナー、ビジネス開発を経て、2005年から2008年までGoogleで広告商品AdWordsの sales marketing チームを率い、YouTubeの広告ビジネスなどの日本導入などを手がける。2009年1月から独立し個人事務所「スケダチ」を設立。新しい広告と新しいメディアの企画、新しい広告領域ビジネスの開発支援を行う。第二回東京インタラクティブアドアワードグランプリ他受賞暦多数。

インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

グーグルCEOシュミット氏が語る5年後のウェブ--大きく変化するインターネット
【CNET JAPAN】 

 Gartner Symposium/ITxpo Orlando 2009において、Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は、5年後のインターネットの姿について、今とは大きく違ったものになると想像している。Schmidt氏によれば、インターネットは中国語とソーシャルメディアのコンテンツであふれかえり、超高速ブロードバンドによって情報がリアルタイムで配信されるようになるという。



  • 今から5年後、インターネットには中国語のコンテンツがあふれているだろう。



  • 今日のティーンエイジャーが、5年後のウェブが持つであろう機能のモデルである。彼らは、アプリケーションからアプリケーションへとシームレスに飛び回る。



  • 5年間というのは、ムーアの法則では10倍に相当する。すなわち、5年間のうちに、コンピュータの性能は今日よりも大幅に向上するだろう。



  • 5年以内に、通信速度が100Mbpsを遙かに超えるブロードバンドが登場するだろう。そして、テレビやラジオ、ウェブといった配信方法の違いは消えてなくなるだろう。



  • 「われわれは、『Youtube』から相当の利益を上げ始めている」。コンテンツは今よりもさらに動画に移行していくだろう。



  • 「リアルタイムの情報は、ほかのすべての情報と同じ価値を持っている。われわれはリアルタイム情報を検索結果に含めたいと考えている」



  • リアルタイム情報を取り扱う企業は、TwitterやFacebook以外にもたくさんある。



  • 「われわれは今でも、リアルタイム情報をインデックス化することができる。しかし、それをランク付けするにはどうすればいいのだろうか」



  • こうしたユーザー生成型情報への根本的なシフトにより、人々は従来型の情報ソースよりも、ほかのユーザーに熱心に耳を傾けるようになる。そうした情報に対するランクの付け方を学ぶことは、「この時代における大きな課題だ」。Schmidt氏はGoogleがその問題を解決できると考えている。


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